収支予算書の取り扱いについて よくあるご質問

収支予算書のフォーマットについて、財務担当の方から度々いただくご質問があり、その内容について解説します。

そのご質問とは以下のような内容です。

収支予算書についてのご質問

財務担当理事Aさん

公益法人会計の会計基準や運用指針を確認してみたところ、財務諸表の定義の中に収支予算書が無く、収支予算書の様式も載っていないのですが何を参考に作成すれば良いでしょうか?

確かにごもっともなご質問で、原典にかえって調べられている姿勢に身が引き締まります。

私自身も平成20年の新公益法人会計基準を見た際に同じ疑問をもっておりました。

ここで、こちらの疑問点について簡潔に解説します。

回答と解説

回答としては「公益認定申請書のG表様式を基礎とし任意の形式で作成」です。

それでは、G表とはどのようなもので、最低限何を記載すべきなのでしょうか。以下、順をおって解説します。

ポイント

公益法人会計基準において収支予算書の定めがない

まず、公益法人で準拠すべき会計基準は公益法人会計基準です。

しかし確かにご質問のとおり、平成20年に定められた公益法人会計基準と、その運用指針である「公益法人会計基準」の運用指針において計算書類の定義の中に収支予算書が入っていないので様式の定めが存在しません。

それでは、収支予算書は何を根拠として作成すればよいかというと

「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則」

となります。

その「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則」の中で収支予算書について文言がありますが、ポイントは下記の内容です。

ポイント

「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する施行規則」で収支予算書について以下の内容が定められている。

  • 事業開始前までに作成し据え置きが必要(27条)
  • 経常収益、事業費、管理費、経常外収益の区分を設けて表示することが必要。事業費以外は細分することも可能(30条1項)
  • 各区分については公益目的事業、収益事業等の項目を設けて表示することが必要。(30条2、3項)

そして、上記のポイントをおさえて表にして作成すると、公益認定申請書の中のG表となります。

公益認定申請書の中のG表は定められた様式があります。

よって、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則」の中で定められた様式を満たす収支予算書を作成するには、公益認定申請書の中のG表の形式を使って作成することをおすすめします。

「公益法人の定期提出書類とは?事業計画書と事業報告書を解説」の記事でも紹介しましたが、エクセルでフォーマットを作成しておりますので、そちらのExcelファイルをご参照ください。

こちらのExcelはひな形としても利用可能ですが、算式や科目などは適宜修正してご利用ください。

内閣府より公開されているFAQにおいても、収支予算書の取り扱いについて同様の記載がありますので、念のためそちらもご紹介いたします。

【参考】「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律施行規則」より収支予算書に関連する文言をピックアップ

(事業年度開始前までに作成し備え置くべき書類)

第二十七条 法第二十一条第一項の内閣府令で定める書類は、当該事業年度に係る次に掲げる書類とする。

一 事業計画書

二 収支予算書

三 資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類

~ ~ ~中略~ ~ ~

(収支予算書の区分)

第三十条 

第二十七条第二号の収支予算書は、次に掲げる区分を設けて表示しなければならない。この場合において、各区分(第二号に掲げる区分を除く。)は、適当な項目に細分することができる。

一 経常収益

二 事業費

三 管理費

四 経常外収益

五 経常外費用

 事業費に係る区分には、次に掲げる項目を設けなければならない。この場合において、各項目は、適当な項目に細分することができる。

一 公益目的事業に係る事業費

二 収益事業等に係る事業費

 第一項第一号、第四号及び第五号に掲げる区分については、公益目的事業に係る額を明らかにしなければならない。

 第一項第四号及び第五号に掲げる区分については、経常外収益又は経常外費用を示す適当な名称を付すことができる。

 収支予算書の各項目については、当該項目の内容を示す適当な名称を付さなければならない。

 公益法人が一般社団・財団法人法第百二十三条第二項(一般社団・財団法人法第百九十九条において準用する場合を含む。)の規定により作成する損益計算書については、前各項の規定の例による。